中小企業省力化投資補助金(一般型)
採択状況レポート ― 第1〜6回の傾向分析

独立行政法人 中小企業基盤整備機構「一般型公募 採択結果」各回概要より作成(最新:第6回・令和8年8月28日)

7,684累計採択件数(第1〜6回)
65.6%通算採択率(採択7,684/申請11,720)
約5製造業が占める割合
6〜10採択事業者に最も多い従業員規模

このレポートについて

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、人手不足に悩む中小企業が、AI・ロボットや専用機械などをオーダーメイドで導入し、生産性を高める投資を支援する補助金です(省力化を「カタログから選ぶ」カタログ型に対し、一般型は事業者が自社に合わせて計画を作るオーダーメイド型)。

2025年(令和7年)の第1回公募から2026年8月の第6回まで、累計で11,720件の申請に対し7,684件が採択されました(通算採択率65.6%)。このレポートでは、各回の採択状況と、「どんな業種・規模の企業が、どんな省力化投資で採択されているか」を、公表資料をもとに読み解きます。

① 各回の申請・採択件数と採択率

棒グラフが申請件数と採択件数(左軸)、折れ線が採択率(右軸)です。第1回(2025年6月)から第6回(2026年8月)までの推移を示します。

出典:中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金(一般型)採択結果」各回。

📊 このグラフのポイント

申請件数は回によって1,160〜2,775件と幅がありますが、採択率はおおむね60〜70%で安定しています。申請が最も多かったのは第3回(2,775件・採択1,854件)。全体として、要件を満たした計画は比較的高い確率で採択される傾向がうかがえます。

  • 採択率が最も高いのは第4回の69.3%、最も低いのは第2回の61.0%
  • 申請数の増減はあるものの、採択率は大きく崩れず「作り込めば通りやすい」補助金といえます
  • 不採択でも次回に再挑戦しやすく、計画のブラッシュアップが有効です

② 業種別の採択割合(第6回・最新)

採択事業者を「主たる事業の業種」で分類したものです(第6回・採択1,176件)。上位業種を示します。

出典:中小企業基盤整備機構「一般型公募(第6回)採択結果について」。日本標準産業分類ベース。

📊 このグラフのポイント

製造業が51.4%と過半を占め、突出しています。次いで建設業14.6%。この2業種で全体の約3分の2に達します。製造・建設は、機械化・自動化による省力化の効果が大きく、投資金額も大きくなりやすいため、この補助金と相性がよい業種です。

  • 製造業+建設業で約66%。「現場でモノをつくる・組み立てる」業種が中心
  • 学術研究・専門技術、小売、卸売、医療福祉なども一定数採択されています
  • 自社の業種で採択例があるかは、申請前に概要資料で確認しておくと安心です

③ 主要業種の採択割合の推移(第1〜6回)

主要な業種の採択割合が、回を追ってどう変わってきたかを示します。この補助金の「利用の広がり」が読み取れます。

出典:中小企業基盤整備機構「一般型公募 採択結果」各回概要。各回の採択件数に占める割合(%)。

📊 このグラフのポイント

制度開始当初、製造業は61.7%(第1回)を占めていましたが、回を重ねるごとに低下し、直近は約50%で推移。代わって建設業が11.3%→17.7%(第5回)へ上昇し、医療福祉や学術・専門技術サービスなども存在感を増しています。省力化投資が製造業から、人手不足が深刻な幅広い業種へと裾野を広げていることがわかります。

  • 製造業への集中度は下がり、業種の多様化が進行
  • 建設業の伸びは、人手不足と自動化ニーズの高まりを反映
  • サービス系業種でも、AI・ロボット活用の採択事例が増えています

④ 補助金申請額の分布(第6回)

採択された事業者が申請した補助金額の分布です。1件あたりどのくらいの規模の投資が採択されているかがわかります。

出典:中小企業基盤整備機構「一般型公募(第6回)採択結果について」(N=1,176)。

📊 このグラフのポイント

最も多いのは1,500〜1,750万円未満(17.8%)の帯で、次いで750〜1,000万円、2,000〜3,000万円と続きます。全体では750万円〜3,000万円のレンジに大半が集中。一般型は補助上限が大きい(従業員数に応じて最大1億円)分、数千万円規模の本格的な設備投資も採択されています。

  • ボリュームゾーンは1,000〜2,000万円台。1台〜1ラインの本格的な省力化設備が中心
  • 250万円未満の小口は少なく、ある程度まとまった投資が想定されています
  • 補助率(原則1/2等)を踏まえると、総投資額はこの2倍規模になります

⑤ 従業員規模別の採択割合(第6回)

採択された事業者を従業員数で分類しました。どのくらいの規模の会社が使っているかを示します。

出典:中小企業基盤整備機構「一般型公募(第6回)採択結果について」(N=1,176)。

📊 このグラフのポイント

最も多いのは従業員6〜10人(17.7%)、次いで21〜30人、5人以下と続きます。従業員30人以下で全体の約6割を占め、比較的小規模な事業者が中心です。人手をかけずに生産性を上げたいという、小規模事業者の切実なニーズが表れています。

  • 「1人あたりの生産性」を高めたい小規模事業者が主な利用者層
  • 101〜200人の中堅規模も8.5%あり、幅広い規模で活用されています
  • 少人数の現場ほど、1台の自動化設備が人手不足対策に直結します

⑥ 都道府県別の採択件数(第6回・上位10)

採択件数が多い都道府県の上位10を示しました。ものづくりが盛んな地域の傾向が表れます。

出典:中小企業基盤整備機構「一般型公募(第6回)採択結果について」。

📊 このグラフのポイント

大阪府(131件)、東京都(120件)、愛知県(102件)が突出。製造業の集積地である中京・関西・首都圏に採択が集まっています。静岡・兵庫・広島・茨城・岐阜など、ものづくりの盛んな県が続きます。

  • 上位は製造業が多い地域。業種構成(製造業約5割)と整合します
  • 地方でも、地域の主要産業に応じた省力化投資で採択されています
  • 地域の支援機関(商工会・よろず支援拠点等)の活用も採択の後押しになります

⑦ どんな省力化投資が採択されている?(第6回の代表例)

公表資料で紹介された、業種別の代表的な採択事例です。「オーダーメイドの専用設備」「AI・ロボットによる自動化」「複数の汎用設備の組み合わせ」が採択の共通パターンです。

製造業

航空・半導体部品の加工

パレットチェンジャー付き横形マシニングセンタ(オーダーメイド)

最大7パレットの連続加工+6〜7時間の夜間無人運転で、人員を増やさず24時間稼働体制を実現。

建設業

空調設備工事

ファイバーレーザー切断機+AIネスティングソフト

鋼材の最適配置を自動計算し、年間約1,585時間を省力化。材料歩留まりも約10%改善。

卸売業

身の回り品卸売

高効率・高容量デバンニングロボット

コンテナからの荷下ろしを自動化し、作業者を5名→2名に削減。熱中症リスクも低減。

宿泊業

ホテル運営

PMS(ホテル管理システム)+セルフチェックイン端末

13ホテルの予約・決済・清掃管理を一元化。フロント業務を効率化し受付時間を短縮。

飲食サービス業

製麺事業

大型製麺ライン一式+石臼機・真空包装機

製麺工程を一貫自動化し、生産を週2,000玉→6,000玉へ。作業を1日600分→150分に短縮。

運輸・郵便業

倉庫業

自動封緘機+画像検品システム+出荷梱包用WCS

検品・梱包・出荷を自動化し、作業員9〜12名を1〜3名へ削減。誤出荷防止と物流DXを実現。

生活関連サービス業

洗濯業(リネン)

自動投入機+カレンダーロール+両面検査装置

投入〜検査〜折り畳み〜仕分けを一貫自動化。創出した人員を高付加価値サービスへ再配置。

サービス業

廃棄物処理業

AI監視制御装置+自動破袋機+高性能選別・圧縮設備

選別ラインをAIで最適運転し、多人数配置を解消。再資源化の品質と処理能力を向上。

出典:中小企業基盤整備機構「一般型公募(第6回)採択結果について」の採択事例紹介より要約。実際の事業計画書とは異なります。

各回の採択データ一覧

公募回公表日申請件数採択件数採択率製造業比率建設業比率

※ 申請・採択件数は各回採択結果より。業種比率は各回採択件数に占める割合。

💡 申請を検討する中小企業へのヒント