設備工事業 受注高分析レポート

国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

各工事主要20社ベース

レポートの概要

このレポートは、国土交通省が令和8年3月31日に公表した「設備工事業に係る受注高調査結果(令和8年1月分・速報)」をもとに、電気工事・管工事・計装工事の3分野について受注動向を分析したものです。設備工事業は建設業の中でも景気動向を反映しやすく、中小企業の設備投資判断にも影響する重要な指標です。

2,696億円
受注総額(令和8年1月)
▲13.1%
前年同月比
▲14.3%
民間 前年同月比
+0.6%
官公庁 前年同月比

受注総額の月次推移(令和6年4月〜令和8年1月)

出典:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

📊 このグラフのポイント

令和6年度から令和7年度にかけての受注総額の月次推移を示しています。令和7年度は多くの月で前年を上回る堅調な推移を見せていましたが、令和8年1月は2,696億円と前年同月比▲13.1%の減少に転じました。

  • 令和7年9月には5,186億円と期間中最大の受注高を記録しています
  • 令和8年1月の落ち込みは、前年1月が前年同月比+28.7%と高い伸びだった反動減の影響が大きいと考えられます
  • 累計(R7.4〜R8.1)では前年同期比+16.7%と依然プラス基調を維持しており、単月の減少だけで過度に悲観する必要はないでしょう

工事種類別 受注高の推移(令和8年1月)

出典:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

📊 このグラフのポイント

電気工事・管工事・計装工事の3分野を月次で比較しています。令和8年1月時点で電気工事は1,535億円(前年同月比+0.1%)とほぼ横ばいを維持、計装工事も298億円(同+2.2%)と微増でした。一方、管工事は1,072億円(同▲23.4%)と大幅な減少が目立ちます。

  • 管工事の落ち込みが全体を大きく押し下げている構造がはっきり読み取れます
  • 電気工事はデータセンターや再エネ関連の需要を背景に底堅い推移を見せています
  • 中小の管工事業者にとっては受注環境の厳しさが続く可能性があり、経営改善策の検討が必要な時期と考えられます

発注者別(民間・官公庁)受注高の推移

出典:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

📊 このグラフのポイント

民間と官公庁の受注高推移を比較しています。設備工事業全体の約9割を民間が占めるため、民間の動きが全体のトレンドをほぼ決定します。令和8年1月は民間が2,449億円(前年同月比▲14.3%)と落ち込む一方、官公庁は246億円(同+0.6%)と小幅ながらプラスを維持しました。

  • 官公庁は金額が小さいものの比較的安定しており、特に電気工事の官公庁発注は+29.9%と大きく伸びています
  • 民間の減少は前年の高水準からの反動と、一部大型案件の端境期が重なったためと考えられます
  • 公共投資の底堅さは、特に地方の中小設備工事業者にとってベースとなる受注基盤として重要です

工事種類別 前年同月比の推移

出典:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

📊 このグラフのポイント

各工事分野の「伸び率」を比較したグラフです。増減率で見ると、3分野のボラティリティ(変動幅)が大きく異なることがわかります。

  • 管工事は月によって+50%超から▲20%超まで振れ幅が大きく、大型案件の有無に左右されやすい特性があります
  • 電気工事は比較的安定した推移で、令和7年度の多くの月でプラス圏を維持しています
  • 計装工事は規模が小さいため増減率が大きく出る傾向がありますが、令和7年10月には前年同月比+57.7%と大幅増を記録しました

年度別 受注総額の推移(令和2年度〜令和6年度)

出典:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

📊 このグラフのポイント

年度単位で見ると、設備工事業の受注総額は令和2年度の約3.17兆円から令和6年度の約4.39兆円へと、5年間で約38%の増加を示しています。

  • コロナ禍の影響が出た令和2年度を底に、毎年度着実に増加しています
  • 令和5年度から令和6年度は+8.9%と伸びがやや鈍化していますが、水準としては過去5年間で最高です
  • 設備工事業全体としては中長期的な成長トレンドにあり、人手不足への対応が経営上の最重要課題となっています

施工高・手持ち工事高(令和7年10月〜12月期)

出典:国土交通省「設備工事業に係る受注高調査結果」令和8年1月分(速報)

📊 このグラフのポイント

施工高(その期間に実際に工事を行った金額)と手持ち工事高(今後施工を予定している金額)を工事種類別に示しています。

  • 手持ち工事高は全体で約4.96兆円と高水準を維持しており、今後も一定の工事量が見込まれます
  • 管工事の手持ち工事高は約2.35兆円と電気工事(約2.29兆円)をわずかに上回っており、受注は減少しても施工のストックは十分にあります
  • 手持ち工事高の水準が高いことは、人材確保・資材調達の計画を立てやすいという面で中小企業にもプラスです

令和8年1月 工事種類別受注高サマリー

工事種類 受注高(億円) 前年同月比 民間(億円) 民間 前年比 官公庁(億円) 官公庁 前年比
総計 2,696 ▲13.1% 2,449 ▲14.3% 246 +0.6%
電気工事 1,535 +0.1% 1,394 ▲2.2% 141 +29.9%
管工事 1,072 ▲23.4% 973 ▲23.7% 99 ▲21.1%
計装工事 298 +2.2% 276 +1.0% 23 +20.3%

📊 まとめと中小企業への示唆

令和8年1月の設備工事業受注高は、管工事の大幅減を主因に全体で前年同月比▲13.1%となりました。ただし、累計ベース(令和7年4月〜令和8年1月)では+16.7%と堅調な成長が続いており、手持ち工事高も約5兆円と高水準を維持しています。

中小企業の経営者・支援者にとっては、短期的な月次変動に一喜一憂せず、累計トレンドと手持ち工事高を合わせて判断することが重要です。電気工事分野はデータセンター需要など構造的な追い風が続いており、管工事は大型案件の端境期に注意が必要です。人手不足と資材高騰が続く中で、工期管理の効率化や協力会社との関係強化がカギとなるでしょう。