レポートの概要
本レポートは、財務省が公表する「対外及び対内証券売買契約等の状況」のデータを基に、 日本と海外の間の証券投資(株式・投資ファンド持分、長期債、短期債)の資金フローを可視化したものです。 「対外証券投資」は日本の居住者が海外の証券を取得・処分した金額、 「対内証券投資」は海外の非居住者が日本の証券を取得・処分した金額を示します。
2025年 対外証券投資ネット
+15.3兆円
海外証券の純取得
2025年 対内証券投資ネット
+23.9兆円
外国人の日本証券純取得
2025年 投資収支差
-8.6兆円
対内超過(資金流入超)
最新月(2026年5月)
-2.9兆円
月次ネット(C-D)
年次推移:対外・対内証券投資の合計ネット(2005〜2025年)
出典:財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況」(指定報告機関ベース、暦年集計)
年次推移:対外証券投資の内訳(株式・長期債・短期債ネット)
出典:財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況」
このグラフのポイント
対外証券投資を「株式・投資ファンド持分」「長期債」「短期債」の3区分に分解した推移です。 日本の投資家がどのような資産クラスに資金を振り向けているかが読み取れます。
- 長期債(オレンジ)が対外投資の主力です。2010年には約21.9兆円、2016年には約20.9兆円の買い越しとなっています。
- 2022年は長期債が約-21.7兆円と過去最大の売り越し。米欧の急激な利上げによる外国債券の含み損拡大が背景にあります。
- 株式投資(青)は2015年に約13.5兆円とピークを迎えた後、近年は売り越し基調が続いていましたが、2025年は再びプラスに転じています。
- 短期債(グレー)は全体に占める比率が小さく、年によりプラス・マイナスが入れ替わります。
年次推移:証券投資収支ネット(対外-対内)
出典:財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況」
このグラフのポイント
対外証券投資と対内証券投資の差額(C-D)を示しています。 プラスは「日本から海外への資金流出超過」、マイナスは「海外から日本への資金流入超過」を意味します。
- 2009年は+26.5兆円と最大の流出超過。リーマンショック後の反動で、日本の投資家が海外資産を積極的に買い増した時期です。
- 2016年は+28.4兆円で過去最大。マイナス金利政策下で、利回りを求めて海外債券投資が急増しました。
- 2013年は-24.1兆円と大幅な流入超過。アベノミクスによる株高期待で、外国人投資家が日本株を大量に買い越しました。
- 2025年は約-8.6兆円の流入超過で、日本市場への海外資金の回帰が示唆されています。
月次推移:対外・対内証券投資ネット(2024年1月〜2026年5月)
出典:財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況」(月次、指定報告機関ベース)
このグラフのポイント
直近約2年半の月次データを拡大表示しています。 月次ベースでは年次よりも変動が大きく、グローバルなイベントや為替動向に敏感に反応していることがわかります。
- 2024年8月は対外投資が約8.7兆円の大幅買い越し。米国債利回り低下を好機とした債券投資の増加が背景です。
- 2025年4月・10月は対内投資が10兆円を超える大幅な買い越し。日本株に対する海外投資家の関心が月次ベースでも鮮明です。
- 2026年3月は対内投資が約-12.7兆円と大幅に売り越しとなり、一時的な調整局面が見られました。
- 中小企業にとっても、こうした国際資金フローは為替レートや金利環境に影響し、輸出入価格や資金調達コストに波及する重要な指標です。
データのポイント
- 日本は構造的な資本輸出国:過去20年間の大半で、対外証券投資が対内を上回り、日本から海外への資金流出超過が基調となっています。
- 長期債投資が対外投資の柱:年金基金や生命保険会社による海外債券投資が、対外証券投資の主要な構成要素です。
- 2022年は「逆流」の年:米欧の急速な利上げにより、日本の投資家は海外債券を大量に売却。対外投資がマイナスに転じた異例の年でした。
- 2024〜2025年は対内投資の拡大:東証改革やコーポレートガバナンス改善への期待から、海外投資家による日本株投資が活発化しています。
- 為替・金利への影響:大規模な証券投資フローは円相場にも影響を及ぼすため、中小企業の輸出入ビジネスにとっても重要な動向指標です。
注意事項:
2014年1月より、投資ファンドに係る取引の計上方法が変更され、「株式・投資ファンド持分」に統合されています。
ネットのプラス(+)は取得超、マイナス(-)は処分超を表します。
単位は億円です。端数処理の関係で合計が一致しない場合があります。
このグラフのポイント
対外証券投資(青線)は、日本の投資家が海外の株式・債券を買い越した金額を示します。 対内証券投資(赤線)は、海外投資家が日本の株式・債券を買い越した金額です。 プラスは純取得(買い越し)、マイナスは純処分(売り越し)を意味します。