1. 売上高・利益の5年間推移
中小企業の1企業当たりの売上高、営業利益、経常利益の推移を見ていきます。
ポイント:売上高は令和6年度に2.2億円と過去5年で最高を記録しました。特に注目すべきは営業利益の伸びで、前年度比16.6%増と大幅に改善しています。コロナ禍からの回復が一巡し、中小企業の「稼ぐ力」が着実に強くなっていることがわかります。
2. 産業別 1企業当たり売上高(令和6年度)
産業によって売上高の規模は大きく異なります。
ポイント:卸売業が9.8億円と突出して高く、次いで運輸業・郵便業(5.0億円)、製造業(4.1億円)が続きます。卸売業は仕入れ→販売という流通構造上、売上高が大きくなりやすい業種です。一方、宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業は比較的小規模な事業が多いことがわかります。
3. 産業別 1企業当たり経常利益(3年比較)
利益の面から各産業の動きを見てみましょう。
ポイント:卸売業(2,700万円)と製造業(2,150万円)の利益水準が高く、運輸業・郵便業は前年度比28.8%増と最も大きく伸びています。建設業も27.8%増と好調です。一方、宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業は利益水準が低めですが、着実に回復傾向にあります。
4. 産業別 従業者数の構成比(令和6年度)
中小企業で働く人は、どの産業に多いのでしょうか。
ポイント:製造業(20.3%)が最大の雇用を担い、次いで小売業(14.4%)、建設業(11.3%)です。この上位3産業で全体の約半数を占めています。中小企業は日本の雇用の大きな受け皿であり、特に製造業のシェアが大きいことが特徴的です。
5. 主要経営指標の推移
中小企業の経営の健全さを示す主要な指標です。
| 経営指標 |
令和4年度 |
令和5年度 |
令和6年度 |
変化 |
| ROE(自己資本利益率) | 10.32% | 9.88% | 10.92% | ↑ +1.04pt |
| 売上高経常利益率 | 4.29% | 4.37% | 4.44% | ↑ +0.07pt |
| 総資本回転率 | 1.00回 | 1.01回 | 1.07回 | ↑ +0.06pt |
| 自己資本比率 | 41.71% | 44.40% | 44.93% | ↑ +0.53pt |
| 財務レバレッジ | 2.40倍 | 2.25倍 | 2.23倍 | ↓ -0.02pt |
ポイント:全ての指標が改善方向に動いています。ROEは10.92%と3年間で最も高く、利益を効率的に稼げるようになっています。自己資本比率も44.93%まで上昇しており、借金に頼りすぎない健全な経営体質が強まっています。
6. 事業承継の意向
中小企業の将来にとって大きな課題である事業承継の状況です。
ポイント:「まだ考えていない」が39.9%と最も多く、「事業を続けるつもりはない」も26.9%と高い水準です。親族内承継を考えている企業は23.2%にとどまります。約7割の企業が承継の具体的な計画を持っていないことになり、今後の中小企業支援の大きな課題と言えます。
まとめ
令和6年度の中小企業は、売上高・営業利益・経常利益・従業者数のすべてが前年度から増加し、経営指標も全般的に改善しました。コロナ禍からの本格的な回復を経て、着実に力をつけている姿が見えます。
一方で、事業承継の問題は依然として大きな課題です。約4割の経営者がまだ承継を考えておらず、約3割は事業を続けるつもりがないと回答しています。せっかく業績が回復しても、それを引き継ぐ体制が整わなければ、日本経済の基盤を支える中小企業の持続性が損なわれかねません。
中小企業の支援に関わる方々にとっては、業績面の好調さを追い風に、事業承継やデジタル化の支援を強化していく好機と言えるでしょう。