レポートの概要
このレポートは、資源エネルギー庁が毎月公表する「石油備蓄の現況」PDFから抽出したデータをもとに、 日本の石油備蓄量の月次推移をグラフでまとめたものです。
日本の石油備蓄は、国家備蓄・民間備蓄・産油国共同備蓄の3つの方法で実施されており、 合わせて約250日分の石油が備蓄されています。
⚠️ 2026年3月:ホルムズ海峡情勢と備蓄放出
2026年3月、ホルムズ海峡の情勢緊迫化を受け、政府は石油備蓄法に基づき国家備蓄原油の放出を決定しました。 当面1カ月分(約850万kl)の放出が行われ、4月には第2弾として追加約20日分の放出も実施されています。 このため、2026年2月以降のデータには備蓄放出の影響が反映されています。
備蓄日数の推移(国家・民間・産油国共同)
出典:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」各月分PDFより作成
保有量の推移(国家備蓄 原油・製品)
出典:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」各月分PDFより作成
📊 このグラフのポイント
国家備蓄は原油と製品(灯油・ガソリン等)に分かれていますが、 保有量のほぼ全てが原油で占められています。
- 原油は約4,150〜4,200万klで極めて安定しています。「原油の形で封印保管」する制度の特徴です。
- 製品は一貫して143万kl前後で、ほぼ横ばいです。
- 2022年のウクライナ侵攻時にIEA協調放出で初めて国家備蓄が放出されましたが、その後は水準を回復しています。
- 中小企業にとっては、国家備蓄は燃料供給の安定性を支える基盤であり、エネルギーコスト急騰リスクの緩衝材です。
民間備蓄の推移(原油・製品別)
出典:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」各月分PDFより作成
📊 このグラフのポイント
民間備蓄は石油精製業者等が法律に基づいて義務的に保有しているもので、 日常の精製・販売活動と連動するため、季節変動が大きいのが特徴です。
- 原油は1,150〜1,400万kl程度で変動し、国家備蓄と比べて変動幅が大きくなっています。
- 製品は冬場(11月〜2月)に暖房用灯油の需要期で在庫が増加し、春〜夏にかけて減少するサイクルです。
- 12月末の民間備蓄は101日分・2,848万kl(製品換算)で、年間で最も高い水準でした。
- 中小企業は、民間備蓄の季節変動を理解したうえで、燃料コストの計画的な管理を行うことが重要です。
合計保有量と備蓄日数の推移
出典:資源エネルギー庁「石油備蓄の現況」各月分PDFより作成
📊 このグラフのポイント
合計保有量(棒グラフ・左軸)と備蓄日数(折れ線・右軸)を重ねて表示しています。
- 保有量は7,000〜7,500万klの範囲で推移しています。
- 保有量がやや減少しても備蓄日数が維持されるのは、国内の石油消費量自体が減少傾向にあるためです。
- 1月末の合計は248日分・7,289万klで、12月末から若干減少しました。
- 有事の際の供給途絶リスクに備え、中小企業でも燃料調達の分散やBCP策定が重要です。
月次データ一覧
以下の表は、資源エネルギー庁公表PDFおよび公開情報から取得・推計したデータです。
※ 確認済みデータ:2025年4月末・12月末は公表PDFから直接取得。2026年1月末は公表資料より備蓄日数・合計保有量を確認済み。
※ その他の月は、国家備蓄の安定性と民間備蓄の季節変動パターンに基づく推計値を含みます。
※ 2026年2月末以降は備蓄放出の影響を含む推計です。4月末・5月末のデータは未公表(2026年5月時点)。
※ 単位:万kl
データのポイント
- 国家備蓄は約4,100〜4,200万kl(原油)で安定的に推移。「封印保管」方式で基本的に動かさない仕組みです。
- 民間備蓄は季節変動が大きく、冬場は製品在庫が増加し、夏場に減少するサイクルがあります。
- 合計備蓄日数は240〜260日分で安定。国内石油消費量の減少傾向により、保有量が減っても日数は維持されます。
- 2026年3月のホルムズ海峡情勢を受け、制度開始以来2回目の国家備蓄放出が実施されています。
- 中小企業にとっては、エネルギー価格の変動リスクに備えたBCP(事業継続計画)の策定が一層重要です。
📊 このグラフのポイント
備蓄日数は、保有量を国内の1日あたり石油消費量で割って算出したものです。 合計で240〜260日分の備蓄が安定的に維持されています。