このレポートについて
「労働力調査」は、総務省が毎月おこなう日本の雇用のいちばん基本となる調査です。約4万世帯を対象に、就業者・失業者・労働力人口などを推計しています(GDP統計や政府の雇用対策の土台になる重要統計です)。
このページでは、2000年から2025年までの年平均データをもとに、日本の労働市場でいま起きている大きな変化を5つのグラフで読み解きます。キーワードは「人手不足」「女性の労働参加」「非正規の下げ止まり」です。中小企業の採用・人材戦略のヒントとしてご覧ください。
- 👥 就業者数は人口減少下でも増え続け、2025年は6,828万人と過去最多の水準
- 📉 完全失業率は2.5%と歴史的な低さ。企業にとっては深刻な「人手不足」
- ♀ 女性の労働参加が労働供給を下支え。労働力率は25年で+7.1ポイント上昇
① 就業者数と完全失業率の推移(2000〜2025年)
棒グラフが就業者数(左軸・万人)、折れ線が完全失業率(右軸・%)です。日本の労働市場の「体温計」ともいえる2指標を重ねました。
出典:総務省「労働力調査(基本集計・全国・年次)」/就業状態別15歳以上人口(statsDataId: 0003008330)。完全失業率は完全失業者÷労働力人口で算出。2011年は東日本大震災の影響で全国結果が算出されていません。
② 労働力率の推移(総数・男性・女性)
労働力率とは、15歳以上の人口のうち「働いている人+仕事を探している人」が占める割合です。社会全体でどれだけの人が労働市場に参加しているかを示します。
出典:総務省「労働力調査(基本集計・全国・年次)」(statsDataId: 0003008330)。労働力率=労働力人口÷15歳以上人口。2011年は震災の影響で欠測。
📊 このグラフのポイント
全体の労働力率は62.4%(2000年)から63.8%(2025年)へ上昇しました。この動きを支えているのが女性です。女性の労働力率は49.3%から56.4%へと25年で7.1ポイントも上昇。かつて出産・育児期に働く女性が減る「M字カーブ」の谷は、大きく浅くなりました。一方で男性は76.4%から71.7%へ低下していますが、これは高齢化(労働参加率の低い高齢層の増加)が主因です。
- 女性の参加拡大が、人口減少による労働力の目減りを埋め合わせています
- 両立支援・柔軟な働き方(時短・在宅)を整えた企業ほど、女性人材を確保しやすい環境に
- 今後の労働供給のカギは、女性に加え高齢者の就業継続とみられます
③ 正規・非正規で見た雇用者数と非正規比率(2013〜2025年)
積み上げ棒が正規(濃い青)と非正規(オレンジ)の雇用者数(左軸・万人)、折れ線が非正規比率(右軸・%)です。「役員を除く雇用者」を100%として計算しています。
出典:総務省「労働力調査(基本集計・全国・年次)」/雇用形態別雇用者数(statsDataId: 0003078094)。非正規比率=非正規÷(正規+非正規)。
📊 このグラフのポイント
「非正規はどんどん増えている」というイメージがありますが、直近の実態は少し違います。非正規比率は2018〜2019年の38%台をピークに頭打ち・やや低下し、2025年は36.5%。むしろ正規の職員・従業員が増えています(2013年3,302万人→2025年3,708万人、+406万人)。人手不足のなか、企業が人材をつなぎとめるために正規化・待遇改善に動いていることがうかがえます。
- 正規は12年間で約406万人増、非正規は約222万人増。近年は正規の伸びが上回る
- コロナ禍(2020〜2021年)では、まず非正規が減少し景気の影響を受けやすいことが表れました
- 中小企業でも、パート・アルバイトの正社員登用や無期転換は人材確保の有効策になります
④ 男女別に見た非正規雇用比率(2013〜2025年)
非正規で働く人の割合を男女別に示しました。同じ「非正規」でも、男女で状況が大きく異なります。
出典:総務省「労働力調査(基本集計・全国・年次)」(statsDataId: 0003078094)。役員を除く雇用者に占める非正規の割合。
📊 このグラフのポイント
女性の非正規比率は約52%と、働く女性のおよそ半分が非正規。ただし2015年ごろの56%前後から近年は低下傾向にあり、女性の正規化が少しずつ進んでいます。一方、男性は22%前後で横ばい。男女差は依然として大きく、これは女性がパート・アルバイトで家計を支える働き方を選ぶケースが多いことを反映しています。
- 女性の非正規比率は56%前後(2015年)→52%(2025年)へ低下。処遇改善の進展がうかがえます
- 男女差(約30ポイント)は、賃金格差やキャリア形成の差につながる構造的な課題
- 多様な人材の活用は、中小企業の生産性向上と人手不足対策の両面で重要です
⑤ 非正規雇用の内訳(2025年)
ひとくちに「非正規」といっても働き方はさまざまです。2025年の非正規雇用(2,128万人)の中身を分解しました。
出典:総務省「労働力調査(基本集計・全国・年次)」(statsDataId: 0003078094)2025年。
📊 このグラフのポイント
非正規の圧倒的多数(約7割)はパート・アルバイト(1,512万人)です。次いで契約社員(273万人)、派遣社員(156万人)、嘱託(105万人)と続きます。世間で語られがちな「派遣」は、実は非正規全体の1割以下にすぎません。
- パート・アルバイトが非正規の中心。柔軟な働き方を求める人と、繁閑対応をしたい企業の双方のニーズが背景に
- 契約社員・嘱託には、定年後の再雇用(シニア人材)も多く含まれます
- 採用戦略では、パート層の戦力化・定着(教育・時給・シフトの工夫)が中小企業の競争力を左右します
主要指標データ(2000〜2025年)
グラフのもとになった主要データの一覧です(単位:万人・%)。横にスクロールできます。
| 年 | 就業者 (万人) | 完全失業者 (万人) | 完全失業率 (%) | 労働力率 (%) | 女性労働力率 (%) |
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💡 中小企業経営へのヒント
- 人手不足は「一時的」ではなく「構造的」。失業率2%台・人口減少が続くなか、採用難は今後も基本前提です。賃上げ・省力化(AI/DX)・業務の見直しをセットで進めましょう。
- 女性・高齢者は最大の労働供給源。両立支援や柔軟な勤務制度は「福利厚生」ではなく「採用戦略」。整備した企業ほど人材を確保できます。
- 非正規から正規への流れが生まれています。パート・アルバイトの正社員登用や無期転換は、定着とスキル蓄積につながる有効な一手です。
- 非正規の主役はパート・アルバイト。この層の戦力化(教育投資・適正な時給・働きやすいシフト)が、サービス業や小売業の生産性を大きく左右します。
📊 このグラフのポイント
就業者数は、リーマンショック(2009年)で一時落ち込んだあと、2013年ごろから一貫して増加。人口が減っているにもかかわらず、2025年は6,828万人と過去最多の水準に達しました。一方、完全失業率は2002年の5.4%をピークに低下し、2019年に2.3%まで下がったあと、コロナ禍で一時上昇するも2025年は2.5%と低水準が続いています。