2026年3月のポイント
厚生労働省が公表する毎月勤労統計調査は、日本の賃金・労働時間・雇用の動きを毎月把握できる重要な統計です。2026年3月速報の主要な数値をまとめました。
前年同月比
前年同月比
前年同月比
(就業形態計)
産業別の現金給与総額(就業形態計)
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年3月速報(事業所規模5人以上)
産業別の現金給与総額 前年同月比
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年3月速報(事業所規模5人以上)
📊 このグラフのポイント
前年同月比を見ると、多くの産業で賃金が上昇している一方、一部の産業では減少しています。
- 「建設業」が+9.6%で最も高い伸びを示しています。特別に支払われた給与(ボーナスなど)が前年比+39.1%と大幅増になったことが押し上げ要因とみられます。
- 「金融業,保険業」も+7.6%と高い伸びで、所定内給与(+8.7%)が大きく寄与しています。
- 「飲食サービス業等」は▲7.4%と大幅なマイナスとなっており、特別給与が▲61.8%と急落していることが影響しています。
名目賃金と実質賃金の前年比推移
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年3月速報(付表より作成)
📊 このグラフのポイント
名目賃金(実際にもらう金額の伸び)と、物価上昇を差し引いた実質賃金の動きを月次で追ったグラフです。
- 名目賃金(現金給与総額)の前年比は、2024年3月以降おおむね+1%〜+4%台で推移しており、賃上げの流れは続いています。
- 実質賃金は2025年の大半でマイナスが続いていましたが、2026年1月に+1.0%とプラスに転じ、2月は+2.1%、3月も+1.3%とプラスを維持しています。
- 実質賃金がプラスになったのは、消費者物価上昇率が鈍化(3月は+1.5%)してきたことが背景にあると考えられます。中小企業にとっても、従業員の生活水準が改善してきている兆しと言えます。
実質賃金の国際比較(前年同月比)
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年3月速報(各国公表資料による)
📊 このグラフのポイント
主要先進国の実質賃金の動きを比較しています。
- 日本の実質賃金は2022〜2025年にかけてマイナスが続く時期が多く、主要国の中で最も厳しい状況でした。
- 2026年に入り、日本もプラス圏に浮上しています(1月+1.0%、2月+2.1%、3月+1.3%)。他国と比較してようやく回復の動きが見られます。
- アメリカは安定的にプラス圏を維持しており、ドイツも2024年以降プラス基調です。日本の回復が持続するかが今後の注目点です。
産業別の月間総実労働時間(就業形態計)
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年3月速報(事業所規模5人以上)
📊 このグラフのポイント
産業別の月間総実労働時間と、所定内・所定外の内訳です。
- 全産業平均は132.7時間で、前年同月比ほぼ横ばい(0%)です。
- 「鉱業,採石業等」(161.4時間)や「建設業」(159.5時間)が長く、「飲食サービス業等」(85.6時間)はパート比率の高さから短くなっています。
- 所定外労働時間(残業)は全体で前年比▲3.0%と減少しており、働き方改革の影響が続いていると考えられます。特に「鉱業,採石業等」で▲19.6%と大きく減少しています。
パートタイム労働者の時間当たり給与の推移
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年3月速報(事業所規模5人以上)
📊 このグラフのポイント
パートタイム労働者の時間当たり給与(所定内給与÷所定内労働時間)の推移です。
- 2022年の1,242円から、2026年3月には1,431円まで上昇しています。4年間で約190円(+15%)の増加です。
- 前年比は+3〜4%台で安定しており、最低賃金引上げの効果が反映されていると考えられます。
- 中小企業にとっては人件費上昇のプレッシャーですが、人材確保のためには賃上げが不可欠な状況が続いています。
2026年3月の主要データ一覧
| 項目 | 就業形態計 | 一般労働者 | パートタイム |
|---|---|---|---|
| 現金給与総額 | 317,254円 | 413,495円 | 112,621円 |
| 前年比 | +2.7% | +3.3% | +1.4% |
| 所定内給与 | 271,313円 | 348,563円 | 107,061円 |
| 前年比 | +3.2% | +3.7% | +2.0% |
| 総実労働時間 | 132.7時間 | 158.9時間 | 76.9時間 |
| 前年比 | 0.0% | +0.8% | ▲2.0% |
| 常用雇用者数 | 51,445千人 | 35,008千人 | 16,437千人 |
| 前年比 | +1.1% | +0.6% | +2.7% |
まとめ
2026年3月の毎月勤労統計調査は、日本の労働市場が引き続き「賃上げ基調」にあることを示しています。名目賃金は前年比+2.7%と堅調で、所定内給与は+3.2%と、ベースアップの効果が浸透しつつあります。
注目すべきは、実質賃金が3か月連続でプラスを維持していることです。消費者物価上昇率が落ち着いてきたことで、名目の賃上げが「実質的な」購買力の回復につながり始めています。国際比較で見ても、日本はようやく他の先進国と同様のプラス圏に入ってきました。
中小企業にとっては、人件費上昇への対応が引き続き課題ですが、従業員の生活水準の改善は、人材定着や消費の回復を通じて、経営にもプラスに働く可能性があります。
📊 このグラフのポイント
産業別の月間現金給与総額を比べると、業種間でかなりの差があることがわかります。