総括判断と各項目の判断
神奈川県内の経済は「持ち直している」との判断が示されました。前回(令和8年1月)の判断から据え置きとなっています。
| 項目 | 今回(R8年4月)判断 | 前回比 |
|---|---|---|
| 総括判断 | 持ち直している | → |
| 個人消費 | 緩やかに回復している | → |
| 生産活動 | 緩やかに持ち直している | → |
| 雇用情勢 | 持ち直しのテンポが緩やかになっている | → |
| 設備投資 | 7年度は増加見込み(全規模・全産業) | → |
| 企業収益 | 7年度は増益見込み(全規模) | → |
| 企業の景況感 | 「上昇」超幅が縮小(全規模・全産業) | ↘ |
| 住宅建設 | 前年を上回っている | → |
| 公共事業 | 前年を上回っている | → |
⚠️ 先行きの注意点
雇用・所得環境の持ち直しや各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待される一方、中東情勢の影響、金融資本市場の変動、米国の通商政策をめぐる動向に注意が必要とされています。
個人消費 緩やかに回復
出典:経済産業省 商業動態統計(全店ベース)、令和8年1-2月期は横浜財務事務所試算
🎤 企業ヒアリングから
- 百貨店:富裕層中心に高級雑貨・美術品が牽引し、非常に好調
- スーパー:節約志向が続き、客数は横ばい。中東情勢による物価上昇を懸念
- 飲食:需要は回復。高級店よりも手ごろな価格帯の店舗が好調
- 宿泊:稼働率上昇で売上増。婚礼部門は大幅な伸び
- 陸運・娯楽:円安効果でインバウンド好調。中国依存は低く影響は軽微
新車登録届出台数 前年を下回る
出典:日本自動車販売協会連合会・全国軽自動車協会連合会
📊 このグラフのポイント
個人消費全体は回復基調の中、新車登録台数だけは前年比▲1.1%と減少しています。自動車はまだ回復途上であり、今後の動向が注目されます。
- 物価上昇やローン金利の影響で、消費者が自動車購入に慎重になっている可能性
- 半導体不足の改善後の反動減も一因と考えられます
生産活動 緩やかに持ち直し
出典:神奈川県 工業生産指数(季節調整値、令和2年=100)
📊 このグラフのポイント
生産指数は118.3と100を大きく上回り、出荷指数も108.3と堅調です。在庫指数101.2は適正水準を維持しています。
- 化学(化粧品)は中国向け需要回復で増産。国内向け新製品も好調
- 輸送機械は商用車需要が堅調。国内の配達需要拡大が追い風
- 食料品・飲料は健康志向で免疫ケア飲料が好調
- 生産用機械は前年の反動減で一時的に減少。ただし生成AI向け受注は引き続き堅調
業種別 生産指数
出典:神奈川県 工業生産指数(季節調整値、令和2年=100)
📊 このグラフのポイント
業種別にみると、生産用機械が150.4と突出して高い水準です。生成AI関連の需要が大きく寄与していると考えられます。化学130.3、輸送機械118.8も高水準です。
- 生産用機械は月ごとの振れが大きいものの、トレンドとしては上向き
- 中小企業の製造業にとって、AI関連需要の波及効果が今後のポイント
雇用情勢 持ち直しテンポ緩やか
出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(季節調整値、パートを含む)
📊 このグラフのポイント
有効求人倍率は神奈川0.84倍、全国1.19倍と、神奈川は全国を下回る状況が続いています。新規求人数は▲1.7%と減少していますが、求人倍率自体は上昇傾向です。
- 新規求人は減少しているものの、雇用保険受給者は増加(+7.5%)しており、雇用のミスマッチが課題
- 製造業では工業高校卒の人材獲得競争が激化。他県大手工場との競合が深刻化
- 小売業は従業員不足が続き、正社員登用や短時間勤務の採用拡大で対応
設備投資・企業収益 増加・増益見込み
出典:横浜財務事務所 法人企業景気予測調査(令和8年1-3月期調査)
📊 このグラフのポイント
令和7年度の設備投資は全産業で前年比+12.9%の増加見込みです。特に製造業が+20.4%と大幅増で、非製造業も+3.0%の増加を見込んでいます。
- 製造業の積極投資は、生成AI関連や自動化設備への投資が含まれると考えられます
- 経常利益は全規模で+7.8%の増益見込み。製造業+10.7%、非製造業+2.5%
- 中小企業にとって、大企業の投資拡大はサプライチェーンを通じた受注増の好機
企業の景況感 上昇超幅が縮小
出典:横浜財務事務所 法人企業景気予測調査(令和8年1-3月期調査)
📊 このグラフのポイント
景況判断BSIを規模別にみると、大企業は+8.9ポイントと改善していますが、中小企業は▲7.3ポイントと「下降」超が拡大しています。
- 大企業と中小企業の景況感に大きな格差が生じている点が最も注目すべきポイント
- 中小企業の景況悪化は、物価上昇によるコスト増を価格転嫁しきれていない可能性を示唆
- 中小企業支援においては、価格転嫁の促進やコスト構造の見直し支援が重要
住宅建設・公共事業 いずれも前年超
出典:国土交通省 建築着工統計、東日本建設業保証(株)他
📊 このグラフのポイント
住宅建設は持家・貸家・分譲の全てで前年を上回り、全体で+18.5%と好調です。公共事業も+18.8%と大幅増となっています。
- 住宅・公共事業がともに好調で、建設業界の中小企業にとっては追い風
- 一方、人手不足や資材価格の上昇が利益率を圧迫するリスクにも注意が必要
まとめ:神奈川県経済の全体像
神奈川県経済は全体として「持ち直し」が続いていますが、いくつかの注意点があります。
- 明るい材料:個人消費は堅調、設備投資は二桁増、住宅・公共事業も好調
- 注意が必要な点:中小企業の景況感は悪化傾向。大企業との格差が拡大
- 外部リスク:中東情勢、米国通商政策、金融市場の変動に注視
- 中小企業への示唆:コスト上昇への対応力(価格転嫁・業務効率化)が今後の明暗を分ける
📊 このグラフのポイント
小売各業態の販売額を前年比でみると、ほぼ全ての業態でプラスが続いています。特にドラッグストア(+6.9%)と家電(+7.0%)の伸びが際立ちます。