📊 第9回世帯動態調査 2024年

現代日本の世帯変動

国立社会保障・人口問題研究所が2024年7月に実施した調査をもとに、日本の世帯がどう変わっているかを数値とグラフでわかりやすく解説します。

39.7%
単独世帯の割合(推計)
2.3人
平均世帯規模
30.3%
1人世帯(調査)
58.7%
有効回収率

目次

  1. 調査の概要
  2. 家族類型の変化 ― 単独世帯の急増
  3. 世帯規模の縮小
  4. 若者の離家と未婚化
  5. 結婚・離家のきっかけの変化
  6. 世帯の継続と変化
  7. 高齢者の世帯と介護
  8. まとめ ― 日本の世帯はどこへ向かうのか
Section 01

調査の概要

第9回世帯動態調査は、2024年(令和6年)7月1日に実施されました。全国から無作為に抽出された600調査区・約32,266世帯が対象です。調査票が回収されたのは19,842世帯で、最終的に有効となったのは18,950世帯(有効回収率58.7%)でした。

今回の大きな変化は、従来の調査員回収に加えて郵送提出とオンライン回答が導入されたことです。特に40歳代以下ではオンライン回答の割合が7割以上を占め、一方で65歳以上では郵送回収が4割以上を占めるなど、年齢による回答方法の差が明確に表れました。

注意点:単独世帯(1人暮らし)は不在等で調査員が接触しにくいため、回収率が低くなる傾向があります。推計では単独世帯は全世帯の39.7%ですが、調査の有効回収票では30.3%にとどまっています。
Section 02

家族類型の変化 ― 単独世帯の急増

📊 家族類型別 世帯の割合(推計値ベース)

出典:第9回世帯動態調査(2024年)報告書 表I-1 /国勢調査(2020年)/世帯数の将来推計(2024年推計)

2024年の推計値では、日本の世帯のうち単独世帯が39.7%と最も多く、次いで「夫婦と子」24.2%「夫婦のみ」19.9%の順となっています。2020年国勢調査時と比較すると、単独世帯はさらに1.7ポイント増加し、「夫婦と子」は1.0ポイント減少しました。

いま日本の世帯で最も多いのは「ひとり暮らし」です。かつての標準だった「夫婦と子ども」の家族は、もはや全体の4分の1以下です。

📊 家族類型の数値比較(千世帯・推計値)

家族類型 国勢調査 2020年 世帯推計 2024年 割合 2020年 割合 2024年
単独21,15122,60038.0%39.7%
夫婦のみ11,21111,31820.1%19.9%
夫婦と子14,01413,78825.2%24.2%
ひとり親と子5,0265,3079.0%9.3%
その他4,3033,9467.7%6.9%
合計55,70556,960100.0%100.0%
Section 03

世帯規模の縮小

📊 世帯規模別の分布(世帯数ベース)

📊 平均世帯規模の推移

世帯数ベースでみると、1人世帯が30.3%で最多、続いて2人世帯34.5%、3人世帯18.2%、4人世帯11.9%の順です。前回(2019年)との比較では、1人世帯が5.9ポイント上昇、4人世帯は3.7ポイント低下と大きな変動がありました。

平均世帯規模は2.3人で、前回の2.5人から0.2人縮小しました。世帯員ベースでみても平均2.7人で前回から0.3人縮小しています。日本の世帯は明確に「小さくなり続けている」ことがわかります。

Section 04

若者の離家と未婚化

📊 年齢別・離家経験割合(男女別)

出典:第9回世帯動態調査 表Ⅴ-1

若者が親元を離れる「離家」のタイミングに注目すると、20-24歳では男性33.8%・女性34.1%がすでに親元を離れた経験があります。しかし25-29歳になると男性66.6%・女性67.5%と急増し、20代後半に離家が集中していることがわかります。

前回(2019年)と比較すると、女性の20代で離家率が顕著に上昇しています。20-24歳は27.5%→34.1%、25-29歳は60.7%→67.5%と、それぞれ6~7ポイント上昇しました。一方、30代は男女とも前回より離家率がやや低下しており、結婚せずに親元にとどまる層が増えている可能性を示しています。

📊 離家のきっかけ(女性・出生コーホート別)

出典:第9回世帯動態調査 表Ⅴ-3

女性の離家のきっかけには大きな世代変化があります。1949年以前生まれでは62.8%が「結婚」を理由に離家していましたが、1985-89年生まれでは31.8%に低下しました。代わりに「入学・進学」が8.0%→31.4%に増加し、高学歴化と社会進出が離家パターンを大きく変えたことがわかります。

かつて女性の離家=結婚だった。いまは進学や就職がきっかけで自立する女性が大幅に増え、結婚による離家は3割にまで低下しています。
Section 05

結婚・離家のきっかけの変化

📊 男性の離家きっかけの変化(出生コーホート別)

男性でも同様の傾向がみられます。1949年以前生まれでは「就職・転勤」が48.7%と最多でしたが、若い世代ほど「入学・進学」の割合が上昇し、1980-84年生まれでは39.7%に達しました。「結婚」による離家は1949年以前の26.2%から1985-89年生まれの15.4%へと半減しています。

男女とも共通するのは、結婚による離家の減少と、進学・就職による離家の増加という長期トレンドです。これは高学歴化、晩婚化・未婚化、都市集中といった複合的な社会変動を反映しています。

Section 06

世帯の継続と変化

📊 5年前→現在の家族類型の移行(継続世帯)

出典:第9回世帯動態調査 表IV-5

継続世帯(5年前にも存在していた世帯)について、5年間で家族類型がどう変わったかを追跡した結果です。単独世帯の90.5%は5年後も単独のままでした(前回は84.9%)。一方、「夫婦と子」世帯の10.7%が「夫婦のみ」世帯に変化しており、子どもの独立(エンプティ・ネスト)の流れがみえます。

全体の傾向として、世帯は時間が経つにつれて小さく・シンプルになっていく方向に変化しています。「その他」(三世代同居など)の世帯が「親と子」や「夫婦のみ」に移行するケースも確認できます。

📊 継続世帯における転入・転出の理由

転入(世帯に入ってきた人)

転出(世帯を出た人)

Section 07

高齢者の世帯と介護

📊 年齢別・介助介護が必要な人の割合(男女別)

出典:第9回世帯動態調査 図Ⅵ-5

70歳代前半までは男女とも介助・介護が必要な人の割合は5%未満ですが、70歳代後半から急上昇し、80歳代前半では男性14.2%・女性18.5%、85歳以上では男性34.6%・女性47.5%に達します。特に女性は85歳以上で約半数が何らかの介護を必要としています。

📊 要介護高齢者(65歳以上)の家族類型(男女別)

要介護の男性高齢者は「夫婦のみ」世帯が46.7%と最も多く、配偶者が介護の担い手になっているケースが多いことがうかがえます。一方、要介護の女性高齢者は「その他」(三世代同居等)27.7%「単独」25.3%「ひとり親と子」22.0%と分散しています。

要介護の高齢者のうち、男性で約1割、女性で約2.5割が「ひとり暮らし」であり、世帯内に介護者がいない状態です。今後の未婚化・少子化の進行により、この割合はさらに高まると予想されます。
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まとめ ― 日本の世帯はどこへ向かうのか

第9回世帯動態調査の結果から浮かび上がる日本の世帯の姿をまとめます。

❶ 単独世帯がさらに増加:推計では全世帯の約4割が1人暮らし。「夫婦と子」は4分の1以下に低下。

❷ 平均世帯規模は2.3人:前回から0.2人縮小。世帯は確実に「小さくなって」いる。

❸ 離家パターンの変化:結婚による離家が減り、進学・就職による離家が増加。特に女性で顕著。

❹ 単独世帯は固定化:5年前に1人暮らしだった世帯の90.5%がそのまま単独を維持。

❺ 高齢単独の介護問題:要介護者のうち男性1割・女性2.5割が単独世帯。世帯内に介護者がいない。

晩婚化・未婚化・少子化・高齢化が同時に進む中で、日本の世帯はますます「小さく」「分散」していく方向にあります。特に高齢者の単独世帯の増加は、介護・福祉サービスの需要拡大に直結する重要な課題です。自治体や中小企業支援の現場においても、こうした世帯構造の変化を前提とした施策やサービス設計が求められています。