レポートの概要
このレポートは、財務省が公表する「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」のデータをもとに、 最近5年間(2021年6月〜2026年3月)の推移をグラフでわかりやすくまとめたものです。
日本の政府債務(国の借金)がどのように変化してきたかを把握することは、 中小企業の経営判断(金利動向・財政政策の見通し)にも関わる重要なテーマです。
約1,344兆円
合計残高(R8.3末時点)
約1,207兆円
内国債残高(R8.3末時点)
+約103兆円
5年間の合計増加額
合計残高の推移(四半期ごと)
出典:財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(単位:兆円)
内国債・借入金・政府短期証券の内訳推移
出典:財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(単位:兆円)
📊 このグラフのポイント
合計残高のうち、最も大きな割合を占めるのは「内国債」(約90%)です。 借入金と政府短期証券はいずれも比較的安定した水準で推移しています。
- 内国債は5年間で約1,067兆円→約1,207兆円へと約140兆円増加。政府債務拡大の主因です。
- 借入金は約50兆円→約44兆円へとむしろ減少傾向にあり、借入依存度は下がっています。
- 政府短期証券は86〜110兆円の間で上下しており、短期的な資金繰りの調整弁として機能しています。
普通国債の残存期間別内訳(年度末ベース)
出典:財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(単位:兆円)
📊 このグラフのポイント
普通国債の中身を見ると、長期国債(10年以上)が圧倒的に多く、全体の約77%を占めています。 これは日本政府が長期の安定した資金調達を重視していることを示しています。
- 長期国債は5年間で約748兆円→約852兆円へと着実に増加。低金利環境のうちに長期で調達する方針がうかがえます。
- 中期国債(2〜5年)も約174兆円→約208兆円と増加傾向です。
- 短期国債(1年以下)は約69兆円→約44兆円と減少。短期依存を避ける動きが見られます。
政府保証債務の推移
出典:財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(単位:兆円)
📊 このグラフのポイント
政府保証債務は、直接的な国の借金ではなく、政府系機関等が発行する債務に対する「保証」です。 万が一返済不能になった場合に国が肩代わりするリスクを示します。
- 約34兆円から約27兆円へと5年間で約7兆円減少しており、リスク縮小の方向にあります。
- 政府保証債務は景気後退時に拡大しやすい性質がありますが、この5年間は縮小傾向が続いています。
- 合計残高に対する割合は約2%程度と小さく、全体のリスクへの影響は限定的と考えられます。
年度末(3月末)データ一覧
各年度末時点の主要項目の残高をまとめました(単位:億円)。
| 区分 | R4.3末 (2022) |
R5.3末 (2023) |
R6.3末 (2024) |
R7.3末 (2025) |
R8.3末 (2026) |
|---|---|---|---|---|---|
| 内国債 | 11,046,800 | 11,363,830 | 11,571,009 | 11,828,849 | 12,072,188 |
| うち普通国債 | 9,914,111 | 10,270,973 | 10,536,526 | 10,797,344 | 11,042,984 |
| うち財投債 | 1,046,242 | 1,008,361 | 945,989 | 914,069 | 909,214 |
| 借入金 | 504,285 | 496,167 | 485,613 | 469,310 | 443,243 |
| 政府短期証券 | 861,989 | 844,993 | 914,993 | 938,996 | 922,995 |
| 合計 | 12,413,074 | 12,704,990 | 12,971,615 | 13,237,155 | 13,438,426 |
| 政府保証債務 | 319,662 | 294,023 | 295,424 | 286,808 | 272,275 |
データのポイント
- 合計残高は5年間で約103兆円増加(約1,241兆円→約1,344兆円)。年平均約20兆円ペースで拡大しています。
- 内国債が増加の主因で、特に普通国債は5年間で約113兆円増加。一方、財投債は約14兆円減少しています。
- 借入金は減少傾向(約50兆円→約44兆円)。政府は国債による調達を重視していることがわかります。
- GX経済移行債が新たに登場(R6.3末から計上)。脱炭素に向けた新しい国債で、R8.3末時点で約4.8兆円です。
- 政府保証債務は減少(約32兆円→約27兆円)。潜在的リスクは縮小しています。
📊 このグラフのポイント
国の借金の合計残高は、2021年6月末の約1,221兆円から2026年3月末の約1,344兆円まで、 5年間で約123兆円(約10%)増加しています。