市区町村ランキング A〜K 11分野ベスト10

総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ)」より — 政府統計 e-Stat —

人口から安全まで、市区町村を多面的にとらえる11の分野(A〜K)。それぞれ代表的な指標をひとつ選び、全国の市区町村ベスト10を作成しました。各ランキングには中小企業診断士の視点で解説コメントを添えています。

このレポートについて

A

人口が多い市区町村(総人口)

分野:人口・世帯  データ年次:2020年度  対象 1,736 市区町村

順位市区町村数値
1神奈川県 横浜市3,777,491
2大阪府 大阪市2,752,412
3愛知県 名古屋市2,332,176
4北海道 札幌市1,973,395
5兵庫県 神戸市1,525,152
6京都府 京都市1,463,723
7埼玉県 さいたま市1,324,025
8広島県 広島市1,200,754
9宮城県 仙台市1,096,704
10千葉県 千葉市974,951

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

横浜市が377万人で全市区町村のトップ。大阪市・名古屋市と続き、上位10位はすべて政令指定都市が占めました。10位の千葉市でも約97万人と、人口100万人前後の巨大都市が並びます。

  • 上位は三大都市圏と地方中枢都市に集中。東京23区は各区を1自治体として数えるため、合算ではここに入っていません。
  • 戦後の都市化と大都市圏への人口集中の結果で、近年は地方都市の人口減少が進み、都市間の格差は拡大傾向。
  • 人口集積地は商圏規模が大きい一方、競争も激しい。出店やEC配送網の設計で人口規模は今も最重要の立地指標です。
B

面積が広い市区町村(総面積)

分野:自然環境  データ年次:2024年度  対象 1,736 市区町村

順位市区町村数値
1岐阜県 高山市217,761.00km²
2栃木県 日光市144,983.00km²
3北海道 北見市142,741.00km²
4静岡県 静岡市141,193.00km²
5北海道 足寄町140,804.00km²
6北海道 釧路市136,326.00km²
7北海道 遠軽町133,245.00km²
8北海道 別海町131,717.00km²
9山形県 鶴岡市131,151.00km²
10岩手県 宮古市125,918.00km²

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

高山市が約2,178km²で堂々の1位。これは東京都全体(約2,194km²)にほぼ匹敵する広さです。日光市・北見市・静岡市が続き、北海道の自治体が多数ランクインしました。

  • 上位はいずれも平成の大合併で山間部・郡部を広域に合併した自治体。面積の大半は森林で、人が住める「可住地」はごく一部です。
  • 広い=暮らしやすいとは限らず、集落が点在するため行政・物流コストが高くなりがちです。
  • 広域自治体では移動コストが事業採算を左右します。地域密着サービスは巡回効率化やオンライン活用が成否の鍵になります。
C

製造業が盛んな市区町村(製造品出荷額等)

分野:経済基盤  データ年次:2023年度  対象 1,679 市区町村

順位市区町村数値
1愛知県 豊田市20,527,151百万円
2岡山県 倉敷市5,548,832百万円
3千葉県 市原市5,119,053百万円
4大阪府 大阪市4,559,649百万円
5神奈川県 横浜市4,222,388百万円
6大分県 大分市3,970,528百万円
7兵庫県 神戸市3,840,095百万円
8愛知県 名古屋市3,549,111百万円
9広島県 広島市3,544,270百万円
10三重県 四日市市3,499,314百万円

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

豊田市が20.5兆円で圧倒的な1位。2位倉敷市(約5.5兆円)の3.7倍にのぼり、トヨタを擁する「ものづくり日本」の象徴です。倉敷・市原・四日市などコンビナート都市が上位を占めました。

  • 上位都市は特定大企業の基幹工場やコンビナートが立地。倉敷(水島)・市原・四日市は石油化学、大分は鉄鋼・石化の集積地です。
  • 出荷額は景気や為替、設備投資の波を受けやすく、特定産業への依存度が高い都市ほど変動リスクも抱えます。
  • これら都市は下請け・部品サプライヤーが集まる地域でもあります。BtoB中小製造業にとって取引先開拓・立地戦略の重要拠点です。
D

財政力指数が高い市区町村

分野:行政基盤  データ年次:2022年度  対象 1,713 市区町村

順位市区町村数値
1愛知県 飛島村2.02
2青森県 六ヶ所村1.62
3長野県 軽井沢町1.50
4北海道 泊村1.49
5東京都 武蔵野市1.48
6福島県 大熊町1.46
7千葉県 浦安市1.43
8茨城県 東海村1.36
9新潟県 刈羽村1.36
10茨城県 神栖市1.35

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

財政力指数は飛島村が2.02で突出。原子力・火力発電所や大規模工場、リゾートを抱える小規模自治体が上位に並びました。指数が1を超えると地方交付税の不交付団体です。

  • 財政力指数=基準財政収入額÷基準財政需要額。固定資産税・法人関係税が人口比で大きい自治体ほど高くなります。
  • 上位は人口が少ない村・町が中心。大規模施設の固定資産税が「少ない住民で割られる」ため指数が跳ね上がります。
  • 財政が豊かな自治体は補助制度や公共調達の余力が大きい傾向。立地選定や自治体連携を考える事業者には注目の指標です。
E

大学・大学院卒の割合が高い市区町村

分野:教育  データ年次:2020年度  対象 1,205 市区町村

卒業者総数に占める大学・大学院卒業者の割合

順位市区町村数値
1東京都 文京区47.8%
2東京都 武蔵野市44.4%
3東京都 中央区44.1%
4東京都 千代田区43.1%
5愛知県 長久手市41.8%
6東京都 国分寺市41.3%
7兵庫県 芦屋市41.3%
8東京都 小金井市41.2%
9神奈川県 鎌倉市40.7%
10東京都 杉並区40.5%

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

大学・大学院卒の割合は文京区が47.8%で最高。卒業者のほぼ半数が大卒・院卒です。東京都心の区や武蔵野市・国分寺市、芦屋市・鎌倉市など高学歴の住宅都市が並びました(人口1万人以上が対象)。

  • 大企業本社や専門職が集まる都心と、その良質な住宅地に高学歴層が集中。愛知の長久手市は大学の集積で上位入りしました。
  • 学歴構成は所得水準とも相関が強く、上位地域は世帯所得・消費単価も高い傾向があります。
  • 高学歴・高所得層が多い地域は、高付加価値サービスや教育・専門サービスの需要が厚い市場。価格より価値を訴えるマーケティングが効きます。
F

第1次産業(農林漁業)就業者の割合が高い市区町村

分野:労働  データ年次:2020年度  対象 1,445 市区町村

就業者に占める第1次産業就業者の割合

順位市区町村数値
1北海道 浜中町50.2%
2群馬県 昭和村44.5%
3北海道 士幌町43.2%
4北海道 別海町39.8%
5北海道 大空町39.3%
6鹿児島県 長島町38.7%
7熊本県 山都町37.9%
8青森県 板柳町37.2%
9和歌山県 みなべ町36.3%
10北海道 新冠町35.9%

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

第1次産業(農林漁業)就業者の割合は浜中町が50.2%でトップ。就業者の半数が農林漁業に従事します。酪農の北海道勢、こんにゃくの昭和村、梅のみなべ町など、特産品の産地が並びました(人口5千人以上が対象)。

  • 大規模畑作・酪農や全国ブランドの特産品産地が上位。地域経済を一次産業が文字どおり支えています。
  • 若年層の流出と高齢化が課題で、担い手不足が産地の持続性を左右しています。
  • 6次産業化・直販EC・ブランド化の余地が大きい地域です。食品加工や観光と結びつけることで、中小事業の成長機会が広がります。
G

図書館が多い市区町村

分野:文化・スポーツ  データ年次:2021年度  対象 1,736 市区町村

順位市区町村数値
1埼玉県 さいたま市26
2富山県 富山市26
3大阪府 大阪市25
4愛知県 名古屋市22
5千葉県 松戸市21
6新潟県 新潟市20
7京都府 京都市20
8神奈川県 横浜市19
9長野県 飯田市19
10福島県 郡山市18

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

図書館数はさいたま市と富山市が26館で最多。政令市が中心ですが、富山市や飯田市など合併で複数の図書館を引き継いだ都市も上位に入りました。

  • 平成の大合併で旧市町村の図書館を継承したため、人口規模だけでなく「合併の経緯」が館数に影響しています。
  • 図書館は無料で利用できる学習・滞在拠点であり、地域の文化インフラとして子育て世帯やシニアの暮らしを支えます。
  • 連携イベントや地域情報の発信を通じて、中小事業者にとっても集客・PRの接点になりうる場所です。
H

住宅が広い市区町村(1住宅当たり延べ面積)

分野:居住  データ年次:2023年度  対象 1,050 市区町村

順位市区町村数値
1秋田県 美郷町211.42
2富山県 南砺市195.64
3石川県 珠洲市191.39
4富山県 小矢部市188.78
5石川県 志賀町185.49
6山形県 尾花沢市185.16
7富山県 氷見市182.58
8石川県 中能登町178.99
9福井県 越前町176.10
10新潟県 魚沼市175.41

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

1住宅当たりの延べ面積は秋田県美郷町が211m²で全国トップ。北陸(富山・石川・福井)が上位を席巻しました。東京の平均(約65m²)の3倍を超える「広い家」が地方に広がっています(人口1万人以上が対象)。

  • 三世代同居の文化、高い持ち家率、地価の安さが背景。広い敷地に大型住宅を建てる伝統が根強い地域です。
  • 「地方=住宅需要が小さい」という思い込みとは逆に、1棟あたりの規模は都市部をはるかに上回ります。
  • 広い住宅は家具・リフォーム・住宅設備の単価が高い市場。住関連の中小事業にとって地方は有望なマーケットです。
I

女性が長生きの市区町村(0歳平均余命・女)

分野:健康・医療  データ年次:2020年度  対象 1,727 市区町村

順位市区町村数値
1長野県 高森町89.00
2滋賀県 草津市89.00
3熊本県 益城町89.00
4東京都 世田谷区88.90
5東京都 小金井市88.90
6兵庫県 芦屋市88.90
7山梨県 富士河口湖町88.80
8長野県 伊那市88.80
9長野県 佐久市88.80
10長野県 箕輪町88.80

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

女性の0歳平均余命は上位がわずか0.2年差にひしめく大接戦。最高は89.0年で、長野県(高森町・伊那市・佐久市・箕輪町)が目立ちます。都市部では世田谷区・小金井市・芦屋市も上位に入りました。

  • 長野県は減塩運動や健康づくり、高い高齢者就業率で知られる長寿県。複数自治体が上位を占めました。
  • 都市部の上位は医療アクセスが良く所得水準の高い住宅地が中心で、「長寿」と「住環境」の関係をうかがわせます。
  • 健康寿命の長い地域はシニアが活動的で、消費や就労の担い手にもなります。健康・予防・アクティブシニア向けサービスの市場として有望です。
J

老人福祉施設が多い市区町村

分野:福祉・社会保障  データ年次:2023年度  対象 1,736 市区町村

老人福祉施設(特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホーム等)の数

順位市区町村数値
1大阪府 大阪市58施設
2東京都 足立区54施設
3愛知県 名古屋市44施設
4兵庫県 神戸市41施設
5北海道 札幌市39施設
6京都府 京都市39施設
7岩手県 盛岡市36施設
8新潟県 新潟市36施設
9福岡県 北九州市36施設
10熊本県 熊本市36施設

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

老人福祉施設数は大阪市58施設、足立区54施設が突出。特別養護老人ホームなどの施設は、高齢者の絶対数が多い大都市に集中しています。

  • 施設数は高齢者人口にほぼ比例。需要の大きい大都市ほど施設が多くなる構造です。
  • 今後も高齢化で需要は拡大が見込まれる一方、介護人材の確保が全国共通の課題となっています。
  • 介護・福祉は地域包括ケアの成長分野。施設の集積地では、給食・送迎・設備・人材など関連する中小事業の需要も大きくなります。
K

人口千人当たり刑法犯認知件数が多い市区町村

分野:安全  データ年次:2008年度  対象 1,257 市区町村

人口1,000人当たりの刑法犯認知件数(人口1万人以上が対象、分母は2010年国勢調査人口)。この統計表は2008年度が最新値です。

順位市区町村数値
1東京都 千代田区95.17
2東京都 渋谷区37.99
3京都府 久御山町34.37
4東京都 新宿区33.20
5東京都 台東区32.23
6大阪府 大阪市30.98
7岐阜県 岐南町28.94
8兵庫県 尼崎市28.91
9東京都 中央区28.71
10東京都 港区27.81

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」e-Stat(政府統計の総合窓口)APIにより取得

📊 ランキングの読みどころ

人口1,000人当たりの刑法犯認知件数は千代田区が95件と突出。渋谷区・新宿区・台東区など繁華街やオフィス街を抱える都心区が上位に並びました。なおこの統計表は2008年度が最新値です。

  • 昼間人口や来街者が多い繁華街は、分母となる夜間人口(居住者)が小さいため、件数を住民数で割った「率」が跳ね上がります。
  • したがって、この数値は住民の体感治安とは必ずしも一致しません。最新の治安動向は警察庁の犯罪統計を確認する必要があります。
  • 集客力の高い繁華型商業地ほど、防犯・万引き対策などのコストも伴います。立地特性に応じたリスク管理が欠かせません。

全体から見えること