レポートの概要
既存の建築物を活かす「リフォーム・リニューアル」工事は、新築需要が頭打ちとなるなかで、建設業の重要な収益源になりつつあります。 本レポートは国土交通省の調査データ(統計表ID: 0003360954)をもとに、過去10年度の受注件数・受注高の推移と、住宅/非住宅・工事種類別の構造を可視化したものです。
① 受注高の推移(住宅・非住宅別)
出典:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」表1-2(年度次)
② 受注高の構成(住宅 vs 非住宅)
出典:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」表1-2(年度次)
📊 このグラフのポイント
受注高を住宅・非住宅で分解すると、一貫して非住宅が市場の中心であることがわかります。 住宅も2020年度を底に回復し、2025年度は4.9兆円まで戻しました。
- 非住宅は景気・設備投資の動向に左右されやすく、年度ごとの振れが大きいのが特徴です。
- 住宅リフォームは比較的安定。省エネ改修・断熱・水回り更新など、補助金政策の影響も受けます。
- 地域の工務店・リフォーム事業者にとっては、安定需要の「住宅」と単価の大きい「非住宅」のバランスが経営の鍵になります。
③ 受注件数の推移(住宅・非住宅別)
出典:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」表1-2(年度次)
📊 このグラフのポイント
受注「件数」は受注「高」ほど単調ではなく、2024年度に約816万件まで落ち込んだ後、 2025年度は約1,097万件へと前年度比+34.5%の急回復を見せました。
- 件数のおよそ7割(2025年度は約747万件)は住宅向け。小口・多数の工事が市場を下支えしています。
- 「件数は減っても受注高は増える」局面は、1件あたりの工事単価(規模)が上昇していることを示唆します。
- 人手不足のなかでは、小口工事をいかに効率よくこなすか(見積・施工管理のデジタル化)が収益力を左右します。
④ 工事種類別の受注高構成(2025年度)
出典:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」表1-2(2025年度・用途計)
📊 このグラフのポイント
工事の中身を見ると、「改装・改修」および「維持・修理」が受注高の95.4%(約15.6兆円)を占めます。 市場の実態は、建物を建て増す工事ではなく、既存ストックを使い続けるための更新・改修需要だとわかります。
- 増築(4,082億円)・一部改築(3,545億円)はいずれも全体の3%未満にとどまります。
- 住宅では「改装・改修」が3.8兆円と中心で、内装・設備の刷新ニーズが根強いことを示します。
- 老朽化した建築ストックの維持更新は今後も継続的な需要。ストック型ビジネスとしての安定性が魅力です。
データから読み取れるポイント
- 市場は拡大局面:受注高はコロナ後に4年連続で回復し、2025年度は16.4兆円と過去10年で最高。
- 主役は非住宅:受注高の約7割を非住宅が占め、設備投資の回復が市場全体を押し上げている。
- 中身は「更新・改修」:受注高の95%超が改装・改修+維持・修理。新築ではなくストック活用が成長エンジン。
- 単価上昇のサイン:件数が伸び悩む年でも受注高が増える傾向は、1件あたりの工事規模・単価の上昇を示す。
- 中小事業者の機会:住宅の安定需要+非住宅の高単価案件。省エネ改修や老朽化対策に強みを持つ事業者には追い風。
※ 受注高の単位は億円、受注件数は件。年度次(4月〜翌3月)。「改装・改修及び維持・修理計」は用途計では合算値のみ公表。
📊 このグラフのポイント
リフォーム・リニューアル工事の受注高(計)は、2020年度の約10.6兆円を底に4年連続で回復し、 2025年度は16.4兆円と過去10年で最高水準に達しました。前年度比でも+18.7%と大きく伸びています。