レポートの概要
このレポートは、財務省が公表する「国際収支状況(6s-1-4)」の月次データをもとに、 1996年から2026年3月までの約30年間にわたる日本の国際収支の推移をグラフで可視化したものです。
経常収支、貿易収支、第一次所得収支(海外からの投資収益など)の長期トレンドを確認することで、 日本経済の「稼ぎ方の変化」を読み取ることができます。
経常収支と内訳の年次推移(1996〜2025年)
出典:財務省「国際収支状況」(6s-1-4 月次データを年次集計)
輸出額・輸入額の年次推移(1996〜2025年)
出典:財務省「国際収支状況」(6s-1-4 月次データを年次集計)
📊 このグラフのポイント
輸出入ともに長期的な拡大傾向にありますが、リーマンショック(2009年)やコロナ禍(2020年)で 一時的に落ち込む局面がありました。2022年以降はエネルギー価格高騰と円安の影響で輸入額が急増しています。
- 輸出は2024年に初めて100兆円を超え、2025年も約108.5兆円と過去最高水準を維持しています。
- 輸入は2022年に約114.4兆円とピークを記録。エネルギー価格の落ち着きにより2025年は約109.1兆円に縮小しています。
- 円安が輸出金額を押し上げる一方、原材料コスト増を通じて中小企業の仕入負担を高める両面の効果があります。
経常収支の月次推移(2023年〜2026年3月)
出典:財務省「国際収支状況」(6s-1-4 月次) ※2026年1〜3月は速報値
📊 このグラフのポイント
月次でみると、経常収支には季節性があります。毎年1月は年末年始の影響で貿易赤字が拡大しやすく、 経常黒字が小さくなる傾向があります。一方、3月や9月は年度末・半期末の決算期にあたり、 海外子会社からの配当金が集中するため第一次所得収支が膨らみやすい特徴があります。
- 2025年1月は経常収支が約▲3,053億円と赤字に。1月としては珍しくありませんが、輸入急増が背景です。
- 2025年9月は経常黒字が約4.4兆円と月次としては非常に高い水準を記録しました。
- 2026年3月(速報値)は経常黒字が約4.7兆円。輸出が10.8兆円と単月として過去最高水準です。
第一次所得収支の年次推移(1996〜2025年)
出典:財務省「国際収支状況」(6s-1-4 月次データを年次集計)
📊 このグラフのポイント
第一次所得収支とは、海外への投資から得られる利子・配当などの収益を指します。 日本企業の海外進出(直接投資)や、年金・保険の海外証券投資が増えた結果、 この項目は右肩上がりで増加し続けています。
- 1996年には約6.2兆円だった第一次所得収支は、2025年には約41.8兆円と約6.8倍に成長しました。
- 特に2022年以降の急増は、円安により海外収益の円換算額が膨らんだことも一因です。
- 中小企業にとっても、海外展開による収益が国内還元されることで、取引先の業績改善や設備投資の活性化につながる可能性があります。
データのポイントまとめ
- 「貿易立国」から「投資立国」への転換:日本の経常黒字の源泉は、モノの輸出から海外投資の果実(第一次所得収支)へとシフトしています。
- 貿易赤字の構造化と縮小傾向:2011年以降の貿易赤字はエネルギー輸入依存が主因でしたが、2025年にはほぼ均衡まで改善しています。
- 円安の両面効果:輸出企業にとっては追い風ですが、原材料を輸入に頼る中小企業にとってはコスト増のリスクがあります。
- 輸出額は過去最高を更新中:自動車・半導体関連を中心に輸出は好調を維持しており、2025年は約108.5兆円を記録しています。
📊 このグラフのポイント
日本の経常収支は1996年以降おおむね黒字を維持していますが、その「中身」は大きく変化しています。 かつては貿易黒字(モノの輸出)が経常黒字の主役でしたが、2011年の東日本大震災以降、 貿易収支は赤字に転落しました。