Market Research Report

日本の会計ソフト
市場シェア調査レポート

個人事業主・中小企業・中堅企業・大企業の企業規模別に、最新の市場シェアと業界動向をわかりやすくまとめました。

📅 調査時点:2025年〜2026年の公開データに基づく 📊 出典:MM総研、ノークリサーチ、矢野経済研究所 ほか

市場の全体像

日本の会計ソフト市場を理解するための重要な数字です。

38.3%
個人事業主の
クラウド会計利用率
93.7%
上位3社の
個人向けシェア合計
55.4%
弥生の
個人向けシェア
+4.6pt
クラウド利用率の
前年比増加

日本の会計ソフト市場は、企業の規模によって選ばれるソフトがまったく異なる構造になっています。個人事業主・小規模事業者向けでは弥生・freee・マネーフォワードの3社による寡占が続いています。一方、中堅〜大企業では勘定奉行やSAP、オービックなどのERPが主流です。

💡 大きなトレンド:クラウド型会計ソフトの利用率が年々上昇しています。個人事業主のクラウド利用率は2017年の13.2%から2025年には38.3%まで拡大しました。電子帳簿保存法やインボイス制度の開始が追い風となっています。

企業規模別 シェア詳細

タブを切り替えて、企業規模ごとの会計ソフトシェアを確認できます。

個人事業主向けクラウド会計ソフトのシェア 3社で93.7%

MM総研「クラウド会計ソフトの利用状況調査」(2025年3月末)に基づく

出典:MM総研 クラウド会計ソフトの利用状況調査(2025年3月末)

順位ソフト名シェア特徴
1 弥生シリーズ 55.4% 10年連続1位。初年度無料で導入しやすい。業界最大のブランド力。
2 freee 24.0% 簿記の知識不要で使える直感的な操作性。スマホ対応に強み。
3 マネーフォワード 14.3% 2,300以上の銀行・カードと連携。バックオフィス一元管理。
その他 6.3% TKC、ジョブカン会計など
📌 ポイント:個人事業主向けは実質3択です。コスト重視なら弥生、簿記初心者ならfreee、銀行連携や関連サービスの充実度を重視するならマネーフォワードがおすすめです。

クラウド型 vs インストール型

会計ソフトを利用している個人事業主のうち、インストール型が49.5%、クラウド型が38.3%です。ただし、クラウド型の利用率は年々増加しており、この差は急速に縮まっています。

出典:MM総研 各年調査を基に作成

中小企業(従業員50名以下)の会計ソフト クラウド3社 + 勘定奉行

MM総研・ノークリサーチ等の各種調査を総合

中小企業向けでは、個人事業主向けと同じ弥生・freee・マネーフォワードのクラウド3社に加え、勘定奉行(OBC)やMJSLINK(ミロク情報サービス)が存在感を持っています。

出典:MM総研 クラウド会計ソフトの法人導入実態調査を基に作成

順位ソフト名クラウドシェア特徴
1 freee会計 32.3% 法人クラウド会計でシェアNo.1。自動仕訳・経費精算を一体化。
2 マネーフォワード 19.2% 従来の会計ソフトに近い操作性。税理士との連携に強い。
3 弥生会計オンライン 15.4% インストール型で培ったブランド力。低コストで導入可能。
4 勘定奉行クラウド BOXILの法人調査で1位(19.93%)。中小〜中堅法人に強い。
📌 ポイント:中小法人のクラウドではfreeeが首位です(個人事業主では弥生が首位と逆転)。ただし、法人全体ではインストール型を含め弥生会計が依然トップを維持しています。法人の85.5%がまだインストール型を使っているという調査データもあり、クラウドへの移行は個人事業主ほど進んでいません。

年商規模によるソフトの違い

ノークリサーチの調査(2025年7〜8月、年商500億円未満の1,300社対象)によると、年商が小さい企業ほど弥生会計の利用率が高く、年商が大きくなるにつれて勘定奉行の割合が増える傾向が見られます。勘定奉行のボリュームゾーンは年商20億〜50億円の企業です。

中堅企業(従業員51〜300名)の会計システム ERP移行が加速

ノークリサーチ「中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」(2025年)

従業員51名以上の中堅企業になると、単体の会計ソフトではなく、ERPの会計モジュールとして導入されるケースが増えます。複数部門での同時利用、部門別会計、予実管理などの高度な機能が求められるためです。

出典:ノークリサーチ 中堅・中小企業向け会計アプリケーション調査(2025年)

順位製品名提供元特徴
1 勘定奉行 OBC 年商規模を問わず安定した導入率。20〜50億円企業に特に強い。
2 GLOVIA 富士通 製造業に強い統合ERP。中堅企業の基幹業務をカバー。
3 SMILEシリーズ 大塚商会 販売管理から会計まで幅広い業務に対応。国内ベンダーの安心感。
4 弥生会計 弥生 中堅企業でも一定のシェア。年商が小さい企業ほど利用率が高い。
5 OBIC7 オービック ERP導入社数シェアNo.1。カスタマイズ性が高い。
6 MJSLINKシリーズ ミロク情報サービス 年商50億円未満で16年連続売上高シェア1位(矢野経済研究所調査)。
📌 ポイント:中堅企業では「どの会計ソフトがいいか」ではなく「どのERPの会計モジュールを使うか」という視点での選定が中心です。業種や既存システムとの相性が重要な判断基準になります。
大企業・上場企業(従業員300名超)の会計システム グローバルERP中心

IDC Japan、Apps Run The World等の調査を総合

大企業になると、単体の「会計ソフト」ではなく、SAP・Oracle等のグローバルERPの会計モジュールや、国産ベンダーの大規模向けERPが主流です。連結決算、多通貨対応、内部統制(J-SOX)への対応など、高度な要件を満たす必要があります。

出典:IDC Japan 国内ERM市場ベンダー別売上額シェア、Apps Run The World等を基に作成

順位製品名提供元特徴
1 SAP S/4HANA SAP(ドイツ) 世界シェアトップクラスのERP。大量データの高速処理が強み。多言語・多通貨対応。
2 Oracle ERP Cloud Oracle(米国) 2024年に世界ERP売上でSAPを初めて逆転。クラウド移行で勢い。
3 OBIC7 オービック 国内ERP累計導入社数・売上高シェアともに上位。日本の商慣習に対応。
4 GLOVIA 富士通 大手製造業に強み。国内独自の業務フローに対応。
5 Biz∫(ビズインテグラル) NTTデータ 大規模グループ企業向け。連結決算・財務分析をカバー。
HUE AC / COMPANY ワークスアプリケーションズ 日本の大手企業の複雑な業務に対応する国産ERP。
📌 ポイント:大企業では導入コストが数千万〜数億円規模になることもあり、シェアだけでなく、自社の業種・グローバル展開の有無・既存システムとの親和性で選定されます。グローバル企業はSAP・Oracleが主流、国内中心の大企業ではオービック・富士通などの国産ERPも有力です。

企業規模別 まとめ比較

規模ごとに選ばれる会計ソフト・システムの傾向を一覧で確認できます。

企業規模 主な選択肢 年間コスト目安 選定のポイント
個人事業主 弥生、freee、マネーフォワード 無料〜約3万円 操作の簡単さ、確定申告対応、コスト
中小企業
(〜50名)
freee、マネーフォワード、弥生、勘定奉行 約3万〜50万円 税理士連携、インボイス対応、拡張性
中堅企業
(51〜300名)
勘定奉行、GLOVIA、SMILE、OBIC7、MJSLINK 約50万〜数百万円 部門別会計、予実管理、ERP連携
大企業
(300名超)
SAP、Oracle、OBIC7、GLOVIA、Biz∫ 数百万〜数億円 連結決算、内部統制、グローバル対応

今後の市場動向

2025年以降の会計ソフト市場で注目すべきトレンドです。

① クラウド化の加速

個人事業主のクラウド利用率は毎年約3〜5ポイントずつ上昇しています。法人でもインストール型からクラウド型への移行が今後加速する見込みです。電子帳簿保存法への対応がクラウド化を後押ししています。

② AI・自動仕訳の高度化

各社ともAIによる仕訳の自動提案・レシート読み取り(AI-OCR)機能を強化しています。特にfreeeは「手入力ゼロ」を目指す設計思想で先行しています。今後は異常検知や不正防止などの高度なAI機能も注目されます。

③ バックオフィス統合の流れ

会計単体ではなく、経費精算・給与計算・請求書発行・勤怠管理を一体化した「統合型プラットフォーム」が主流になりつつあります。freee・マネーフォワードはこの方向で急速にサービスを拡張しています。

④ ERP市場の世代交代

大企業向けERP市場では、2024年にOracleがSAPを売上高で初めて上回る歴史的な転換が起きました。クラウドERPへの移行に伴い、日本企業のシステム更新需要が高まっています。国内ERP市場は2桁成長が続く見込みです。

出典・参考資料

本レポートの作成に使用した主な調査データ・情報源です。

  • MM総研「クラウド会計ソフトの利用状況調査(2025年3月末)」(2025年4月発表)
  • MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査」
  • ノークリサーチ「2025年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」(2025年10月発表)
  • 矢野経済研究所「中堅・中小企業向けERPシステム調査」
  • IDC Japan「国内ERM市場ベンダー別売上額シェア実績」
  • BOXIL「ERP・会計ソフト導入者アンケート調査」(2025年3月)
  • Apps Run The World「Top 10 ERP Software Vendors」
  • ITR「ITR Market View:ERP市場2025」

※ 各調査は調査時期・対象・手法が異なるため、数値の単純比較には注意が必要です。
※ 本レポートは2025年〜2026年初頭に公開された情報を基に作成しています。