インボイスと電帳法改正対応の実態調査が日本商工会議所より発表されました。

インボイスや電帳法のセミナは時々実施しています。10月にも北海道で実施したりします。対応は早い企業はもうさっさと対応し終わっていたりします。一方で、制度がよくわからないので、放置のままという小規模事業者も多いと思います。特に電帳法は、何も対応せずに2024年1月を迎える事業者もそれなりにいるんじゃないかと思います。

現時点での実態調査を日本商工会議所・東京商工会議所が実施して結果が公表されています。

サマリ部分で気になるところを引用の中で色を付けてみました。

Ⅰ.インボイス制度導入への準備状況等

○インボイス制度導入に向けて特段の準備を行っていない事業者の割合は、全体で42.2%と昨年の59.9%から減少したものの、「売上高1千万円以下の事業者」では60.5%にのぼり(昨年は73.0%)、小規模な事業者ほど準備が進んでいない実態が浮き彫りになった。

○【新設】既にインボイス発行事業者登録申請を行った事業者は10.5%に留まっている。

○制度導入に向けた課題は、「そもそも制度が複雑でよく分からない」が47.2%で、最多の結果となった。

○課税事業者の28.4%が免税事業者との取引を見直す意向(昨年(20.8%)から増加)。

○免税事業者の30.8%は「課税事業者になる予定」と回答(昨年(14.2%)から増加)。また、「廃業を検討する」と回答する事業者も4.2%存在(昨年(4.0%)から微増)。

出典 https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1030455

Ⅱ.バックオフィス業務のデジタル化状況等

○「売上高1千万円以下の事業者」の30.7%が、経理事務について税理士等外部専門家の関与なく、すべて社内で対応、また、93.3%が1人で経理事務に従事している。後者のうち68.5%は、代表者が経理事務を兼務しており、昨年とほぼ同様の結果となった。

○帳簿の作成について、「売上高1千万円以下の事業者」では46.2%がいまだに手書きで行っている。昨年(50.4%)と比べ、デジタル化がほとんど進んでいない状況。

○受発注業務について、中小企業の多くがいまだに電話、FAX、実訪といったアナログで行っており、特に「売上高1千万円以下の事業者」では受注84.7%、発注78.7%にのぼる。昨年(受注86.3%、発注80.4%)と比べ、デジタル化がほとんど進んでいない状況。

○改正電子帳簿保存法による電子取引のデータ保存義務化への対応について、小規模な事業者ほど「内容をよく理解しておらず、何もしていない」割合が高く、「売上高1千万円以下の事業者」では56.8%にのぼる。また、本来の目的である「経理業務のペーパーレス化」に逆行し、「全て紙の原本の授受に切り替える」と回答した事業者も4.0%存在。

出典 https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1030455

なかなかに厳しい数字が並びますね。インボイスについては対応するかしないかは事業者の意思決定の問題でもあるので、よくわからないから対応しない!ということでも法的には問題は発生しないでしょう。ただもちろん対応しないことでBtoBの取引を失ってしまうリスクは有ると言えます。

一方で、電帳法の対応は何もしないで2024年の1月を迎えると、法律違反になる事業者が発生することになるでしょう。そのため、デジタル化に逆行して、全て紙で対応するという事業者が4%存在するという結果になっています。短期的には仕方ないケースもあると思いますが、このデジタル化の時代に法に対応するためにアナログに戻すっていうのは、本末転倒と言えるでしょう。

請求書のデジタル化状況

とはいえ、現状の小規模事業のデジタル化の進展状況を確認すると、なかなかに厳しい状況が伝わってきます。1ページだけ調査報告書からの資料を掲載します。請求書のデジタル化状況についてです。

1千万円以下の企業では、請求書は手書きが64%で、エクセル等が24%となります。市販ソフトウェア利用は12%弱。このソフト利用企業は電帳法への対応はそれほど難しくないと思います。電帳法に対応しているソフトウェアにアップグレードするだけです。というより最近ではクラウド型のソフトウェアサービスを利用しているケースが多いので、アップデートも知らない間に実行されていることが多いでしょう。

問題は、手書きの人にデジタルになってもらったり、エクセルだった人がクラウドサービスを使うようになるかどうかでしょうか。

手書きの方もエクセルの方もいずれも郵送していれば自社としては問題は無いのかもしれません。一方で、取引先からデジタルで送付してくれと言われる場合もあるでしょう。

法改正の対応は面倒ではありますが、せっかくの機会であり、これを機に小規模企業のデジタル化が進むといいのですが。

そんなところで。